愛猫がカリカリを食べないのは、急にわがままになったの?
わがままなら食べるまで”ほっとく”でもいいかな…。
でも、病気を発症していたら、放置するのは危険だよね。
この記事では、猫がカリカリを急に食べない原因について、解説します。
結論からお伝えすると、猫がカリカリを急に食べない原因はわがままやストレスだけではなく、病気の発症も考えられるのです。
そのため、急に食べないからといって、『わがまま』と決めつけてしまうと、病気発症など大変なことになるかもしれません。
万が一病気を発症していても、早期発見により早期治療ができるため、正しい知識で猫の体調を観察することが大切です。
この記事では、猫の専門資格をもつわたしが、『猫がカリカリを急に食べないのは”わがまま”なのか』考えられる原因について解説します。
獣医さん監修の内容ですが、不明な点があれば動物病院へ受診をおすすめします。
猫がカリカリを急に食べないのは、わがまま?放置/ほっとくという意見もあるが…
猫がカリカリを急に食べない理由は、わがままだけではありません。
『ウェットやおやつは食べるから、カリカリの味に飽きたとか、わがままなだけでしょ?』
このように考え、”放置してほっとくと、諦めてカリカリを食べるんじゃないか”という意見もあります。
しかし、子猫なら12時間/成猫なら24時、何も食べない状態だと命の危険がでてくるため、放置してはいけません。
病気の発症が原因も可能性があるため、後半でご紹介した対策を試してみてください。
猫がカリカリを急に食べない原因6つ
主な原因 | 主な病気 | |
離乳食直後の子猫 | ・餌が硬すぎる ・環境変化のストレス ・異物誤飲 | ・ウイルス感染症 ・お腹の虫(寄生虫感染) |
成猫 | ・興奮している ・ストレス・恐怖・疲労を感じている | ・胃腸炎や感染症 ・心臓病 ・腎臓病 |
高齢猫 | ・運動量の低下 ・消化機能の衰え | ・口内炎 ・慢性腎臓病 |
猫がカリカリを急に食べない原因は、以下の6つです。
- カリカリ餌に不快感を感じたため
- 同じカリカリ餌に飽きたため
- ストレスがたまっているため
- 発情期と重なったため
- 高齢猫は食事量が減るため
- 隠れた病気のサイン
6つの原因について、カンタンに解説します。
①カリカリに不快感を感じたため
今まで食べていたのに、急に食べなくなったときは、カリカリと不快な体験が結びつき、餌をみると連想してしまって食べなくなる「食物嫌悪症」かもしれません。
例えば、以下のようなことが考えられます。
- カリカリ餌を食べてすぐに嘔吐した。
- カリカリ餌にまずい薬が混ぜられていた。 など
猫はカリカリの味や食感・香りに敏感です。
ほとんどの猫は子猫(生後6カ月未満)時代に食べたものがそのまま餌の好みになるので、違うものだと食べてくれないことがあります。
②同じカリカリ餌に飽きたため
同じカリカリが単純に飽きてしまった場合、カリカリを急に食べなくなることがあります。
新しい食べ物への興味が強くなると、今までのカリカリを急にたべなくなることがあるのです。
猫には、新しいものを好むネオフィリアっていう習性があるんだって🎵
愛猫が同じカリカリに飽きてしまう理由については、こちらの記事『猫が同じ餌に飽きる理由を解説』をご覧ください。
③ストレスがたまっているため
ストレスを感じると、食べ物に対して警戒心が強くなり、急に食べなくなることがあります。
猫の生活環境がかわったり、食事場所がトイレの近くだったりすることで食欲がさがり、食べなくなることも。
- 引っ越しして住まいが変わった。
- 新しい別のペットを飼い始めた。
- 多頭飼いの場合、他の猫に餌をとられてしまう。
- 動物病院へ行った。
- 飼い主さんのご家庭に赤ちゃんが誕生した。
ストレス環境下で新しい味の餌に対して警戒する、ネオフォビアという習性があるらしいよ。💦
嫌い好きな猫にとって、餌を入れる食器が汚れているだけでもストレスになります。
④発情期と重なったため
避妊去勢未手術の猫は、発情期の間は食欲が下がり、急に食べなくなることが多いといわれています。
猫の発情期は陽の出ている時間の長さが関係していると言われ、明るい部屋で過ごしている室内飼いの猫は1年の間に発情する回数が多いのです。
基本的に猫の発情期は、【1~3月】と【5~6月】【10月】が多いらしいよ。
⑤高齢猫は食事量が減るため
高齢猫は活動量が減ることで消化能力や基礎代謝も衰え、食事量も少なくなりがちから、急に食べなくなることがあります。
基礎代謝が減ってくると体に必要なエネルギー量も低下するため、自然に食事の量が減っていきます。
また、餌入れの大きさや高さが食べにくくなったり味覚や臭覚が衰えることも、食欲低下の原因の1つ。
高齢猫は消化機能も低下しているから、十分な餌を食べないと栄養失調になっちゃうよ。
噛む力も弱くなってくるため、餌の与え方に工夫が必要になってきます。
全く食べなくなり、異常行動(夜中に鳴き続ける・昼間は動かない)が見られたら認知症を疑い、動物病院へ受診してくださいね。
ちなみに、高齢猫に多い病気は慢性腎不全と糖尿病ですので、注意して観察しましょう。
⑥隠れた病気のサイン
猫が病気を発症している場合も、カリカリを急に食べなくなることがあります。
餌を急に食べなくなっただけでなく、以下の症状がみられる場合は注意してください!
- 寝てばかりで元気がなさそう
いつものように遊ばなかったり、動きが悪い、すぐに隠れるなどが見られます。 - 水を飲む量が増えた
急に水を飲む量が増えた場合は、腎臓病や糖尿病・甲状腺機能亢進症の疑いがあります。
1日にどのぐらい飲んでいるか、測れる給水器もありますので確認してみましょう。 - 水を飲まなくなった
皮膚をつまんですぐに戻らない場合は、脱水症状を起こしています。脱水症状がひどくなると目がくぼんでしまうため、動物病院で水分も補給してもらう必要があります。 - おしっこがでない
尿路閉塞の疑いがああり、緊急性が高いため早急に動物病院で受診してください。 - 食べたそうなんだけど、なぜか食べない
食べようとしているのに、まったく食べる形跡がない場合は、お口の中のトラブルがあるかもしれません。 - 発熱/嘔吐する/下痢になる/息が荒い
嘔吐が何度も何日も続くようであれば、緊急の場合もあるため早急に動物病院で受診してください。
特に「嘔吐する/下痢になる/息が荒い」症状が出た場合は、緊急の可能性があるため、早急に動物病院で受診してください。
成長期の子猫時代には、餌を食べなくなることで栄養が足りずに低血糖になりやすいです。
そのため、他の症状がでていなくても受診しましょう。
成猫でも、24時間以上餌を食べてない場合は危険!
他に症状がなくても必ず動物病院へ受診してね。
消化器系や下部泌尿器系の病気や感染症など、考えられる病気はたくさんあります。
猫がカリカリを食べない原因で考えられる病気7つ
消化器系疾患 | 腸閉塞・慢性胃炎・便秘など |
下部泌尿器系疾患 | 頻尿・血尿・尿道・膀胱に起こる病気 |
ウィルス性の感染症 | 猫白血病ウイルス感染症・猫ウイルス性鼻 |
口腔内トラブル | 口内炎・歯周病など |
猫がカリカリを食べない原因で考えられる病気は、以下の7つです。
- 消化器系疾患
- 慢性腎臓病(慢性腎不全)
- 肥大型心筋症
- 下部尿路疾患(FLUTD)
- 脂肪肝(肝リピドーシス)
- 口腔内のトラブル
- その他
7つの考えられる病気について、カンタンに解説します。
①消化器系疾患
嘔吐や下痢など消化器系に症状が出ている場合、胃腸炎や感染症・異物誤飲が考えられます。
②慢性腎臓病(慢性腎不全)
水を大量に飲み、うすいおしっこをたくさんする症状あるいは嘔吐している場合は、慢性腎臓病の可能性が考えられます。
進行すると、下痢や体重減少などの症状があらわれてしまいます。
急性腎不全を予防するため、日頃から腸内環境を整えることで、健康寿命ものばせるのです。
獣医さんも超おすすめの腸活のサポートをしてくれる健康補助食品はこちらの記事です。
③肥大型心筋症
咳・開口呼吸・突然後ろ足の麻痺などの症状であらわれた場合、肥大型心筋症の可能性が考えられます。
④下部尿路疾患(FLUTD)
頻尿・血尿やおしっこをするときに痛がって鳴いてしまう症状は、泌尿器の膀胱や尿道に起こる病気で排尿痛などがあります。
⑤脂肪肝(肝リピドーシス)
肥満の猫が餌を食べない時間が36時間以上になる場合は、脂肪肝の疑いがあります。
体内に蓄積している脂肪が、急速に分解されて過剰に流されて肝臓に蓄積されると症状がでます。
症状としては嘔吐や黄疸で、重症になると意識障害を引き起こし最悪、死に至る場合もある怖い病気です。
⑥口腔内のトラブル
猫が餌を食べようとすると痛がったり、口臭やよだれの量がふえていると、口腔内の病気の可能性がでてきます。
口内炎 | <症状>よだれが増える・口内が赤く腫れている・毛づくろいをしない 餌をたべるとき、痛みを感じるため「食べたいのに食べられない状態」 |
歯周病 | <症状>よだれや口臭が増える・歯茎の腫れ・出血・歯がぐらついている・抜けてしまった 進行すると鼻水やくしゃみの症状がでて、「細菌が全身を回ると別の病気を併発する」 |
口内炎は口の中の粘膜が炎症を起こしている状態です。
特に、高齢猫に多くみられる強い痛みを伴う【潰瘍性口内炎】が原因で食欲不振になる場合があります。
潰瘍性口内炎は、はっきりした原因がわかってない怖い病気だよ。💦
3歳以上の猫の約8割以上が歯周病になると言われている、怖い病気です。
⑦その他
猫白血病ウイルス感染症や悪性腫瘍(がん)になり、痛みや神経症状を伴うことがあります。
猫がカリカリを急に食べなくなった時の対処法7つ
猫の年齢 | 餌を食べていない時間 |
1~3か月の子猫 | 8時間以上 |
3~6カ月の子猫 | 16時間以上 |
1歳~の成猫 | 24時間(1日)以上 |
猫がカリカリを急に食べなくなった時の対処法は、以下の7つです。
- 食べるまでそっと待ってあげる
- カリカリ餌の与え方や種類を変えてみる
- カリカリ餌に猫用の鰹節やふりかけをかける
- カリカリ餌を食べやすい環境を作る
- おやつの量を控える
- 生活観察し、運動量を調整する
- 動物病院へ受診する
猫は元気がよくても、餌を食べなくなって2~3日以上となる場合、「食欲不振」と判断します。
元気がなくなり、全く食べなくなってから24時間以上経過した場合は、早急に動物病院へ受診してください。
では、7つの対処法について、カンタンに解説します。
①食べるまでそっと待ってあげる
食べたい量を摂取できたため、食べ終わっただけの場合、”次に食べるまでそっと待ってあげましょう”。
猫は、食事回数を分けて少しずつ食べる動物のため。
強引に食べさせようとすると、猫にストレスがかかってしまうので、少し様子をみてあげてください。
②カリカリの与え方や種類を変えてみる
いつものカリカリを普段と違う方法で与えたり、カリカリの種類を変えると、食べてくれることがあります。
この場合は、純粋に”飽きただけ”と推測されるため。
次のような方法がおすすめです。
- 狩猟時代の狩りを想定して、餌を獲物の体温(40度前後)ほどに温める。
- カリカリの粒の大きさが違うものを混ぜて与える
温めると、餌本来の風味が引き立つため、臭覚を刺激し食欲増進が期待されます。
また、粒の大きさの違うものを混ぜて与えると気分転換にもなって、食べてくれる可能性も。
ちなみに、わたしが推奨しているカリカリについては、こちらの記事『猫の資格を持つ私が与えている最強メニュー』をご覧ください。
③カリカリに猫用の鰹節やふりかけをかける
いつものカリカリに、猫用の鰹節やふりかけをかけて味変させると、食べてくれることがあります。
こちらも、愛猫の気分転換によって食べる可能性が考えられるため。
ただし、かけすぎるとカロリーオーバーになってしまうので、気を付けてください。
ちなみに、わたしは減塩タイプのものを使ってます。↓↓
我が家の猫は、パッケージの袋を開けただけで、香りにつられて集まってきます。(*’▽’*)♪
④カリカリが食べやすい環境を作る
食事場所を猫トイレから少なくとも1m以上は離し、静かな場所へ置いてあげると食べてくれることがあります。
餌入れも猫の好きな素材でできたものを選び、餌を与えるたびに洗ってあげましょう。
高齢猫になると、筋力の衰えによる食べにくさも食欲不振につながるため、体に負担のかからない状態で食事できるような配慮も必要です。
⑤おやつの量を控える
猫に与える”おやつ”の量を少し控えると、カリカリを食べてくれることがあります。
おやつでお腹が満たされ、カリカリをたべられないことが考えられるため。
おやつはカリカリより嗜好性が高いですが、一般栄養食(副食)のため、おやつだけで栄養バランスはとれません。
栄養の偏りによって体調不良をおこす場合もあります。
カリカリ(ご飯)を中心におやつの量は全体の20%以内とし、数回にわけて与えましょう。
⑥生活観察し、運動量を調整する
餌の時間帯や回数など猫にとって理想の与え方を観察し、生活環境を整えてあげると、食べてくれることがあります。
回数を多くすることで、毎回新鮮な餌を食べることができるため。
猫も、新鮮なカリカリは食べてくれるかもしれません。
飼い主さんが長時間留守ときに活躍する、自動給餌器。
愛猫の、毎日の栄養管理として使う方も多いです‼
運動不足による食欲不振については、キャットタワーや上下運動ができる高い家具などを設置し、日頃から運動できる環境をつくってあげましょう。
⑦動物病院へ受診する
カリカリを急に食べなくなったこと以外に症状/異変はないか、観察し、気になることがあれば動物病院を受診しましょう。
下痢に血が混ざっていたり、嘔吐や脱水症状がみられる場合は大至急、受診してください!
受診時、下痢や嘔吐の回数、時間帯や下痢・嘔吐物をスマホで写真や動画を撮影して持っていくと、獣医さんが判断しやすいようです。
以前、我が家のノアルを診察していただいた獣医さんがおっしゃってました。(*’▽’*)♪
皮下輸液 | 脱水の疑いがあるときに、水分や栄養を体内に入れます。 ただし、高齢猫や心臓に疾患がある猫は注意してください。 |
食欲増進剤の内服 | よく効くため、病気の治療中など栄養を摂らないといけない場合は、 食欲を増進させるために服用されるようです。 |
強制給餌 | 注射器のような入れ物に流動食をいれて、直接口に入れてたべさせます。 |
まとめ:猫がカリカリを急に食べないときは、放置しないで!
今回は、猫がカリカリを急に食べないのはわがままだったのか…考えられる原因について解説しました。
猫がカリカリを急に食べなくなる原因がいくつかあり、”わがまま”と放置/ほっとくのは危険です。
飼い主さんがケアしてあげられることもありますが、病気が隠れている可能性もあるため。
少しでも異変を感じたら放置せず、動物病院で受診することをおすすめします。
猫は、カリカリを急に食べない理由を飼い主さんに伝えることができません。
わがままと放置せず、なぜ愛猫がカリカリを急に食べないのか、しっかり観察しましょう。
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