高齢猫がトイレ以外でうんちやおしっこをすることがあります。(これを”粗相”といいます。)
昔うちにいた高齢猫も、よくトイレ以外うんちやおしっこしちゃって、偶然目が合うと申し訳なさそうに見つめてきた光景は今でもはっきり覚えています。
「本当はトイレで排泄したいはずなのに、どうしちゃったんだろう。( ;∀;)」
結論からお伝えすると、実は人と同じで猫も高齢になると内臓機能や筋力の低下などが原因で粗相してしまうんです。
この記事では、高齢猫がトイレ以外でうんちやおしっこをしてしまう原因と対策について解説します。
高齢猫がトイレ以外でうんちやおしっこをする原因と対策8つ
高齢猫がトイレ以外でうんちやおしっこをする原因と対策は、以下の8つです。
- 下部泌尿器系の病気
- 糖尿病
- 尿失禁していた
- 認知症になっていた
- トイレの入り口が高すぎる
- トイレが小さすぎる
- トイレまでの距離がある
- トイレ環境が気に入らない
8つ原因・対策について、解説します。
高齢猫は、体の機能も衰えていきますので、粗相をしたときはまず病気を疑ってください。
下部泌尿器系の病気
家猫の祖先は砂漠で生活していて、あまり水分を摂らない結果、おしっこの濃度が高くなり、腎臓などの泌尿器系に負担がかかってしまいます。
高齢猫になると下部泌尿器系疾患になる猫が多いのは、内臓に負荷がかかり続けているからです。
【対処法】
下部泌尿器系の病気の疑いがある場合は、早めに動物病院を受診しましょう。
慢性腎不全(腎臓病)は猫の死亡原因で一番多い病気です。
病気の進行自体はゆっくりで気づきにくいですが、多飲多尿※かなと思ったら、かなり進行していることが考えられるので早急に動物病院へ受診してくださいね。
※たくさんお水を飲んで、たくさんおしっこをすること。
「慢性腎不全」って一度発症すると治らない病気で、進行を遅らすことしかできないから、日頃から健康管理はすっごく大事なの。
多飲多尿になると、頻繁にトイレでおしっこをすることになりますよね。
始めの方はトイレを使ってくれていても、飼い主さんのトイレ掃除が追い付かないと不衛生になり、トイレを嫌いになってしまうんです。
病気を発症すると、悪循環で全て悪い方向になってしまうね。💦
飼い主さんも体力勝負になるけど、頑張って!^^
病気になったとしても、高齢になったとしても、猫だって普通の生活が送りたいはず。
飼い主さんのケアができる最大限のお世話をしてあげてください。
私たち飼い主は、猫からたくさんの癒しをわけてもらってるんだから。🎵
多飲多尿だけじゃなく、血尿がでたりおしっこ中に痛がる素振りをみせるなどほかの症状がみられた場合も、早急に動物病院へ受診しましょう。
糖尿病
猫の糖尿病は200頭に1頭の割合で発症することがわかっています。
7歳以上の高齢猫になると発症する割合がぐんと上がるんです。
糖尿病の大きな症状として「おしっこの量が増える」「おしっこの回数が多い」になりますが、尿失禁と勘違いすることがあります。
尿失禁化糖尿病の疑いか判断がつかないときは、獣医さんに相談してください。
ちなみに、肥満気味の猫は糖尿病かもしれないから、要注意だよ!
【対処法】
糖尿病だと、治療が必要になります。
専門家に判断していただくように動物病院を受診してくださいね。
尿失禁していた
高齢猫になると、おしっこをしていることに気づかないまま、ぼたぼたと漏らしてしまう猫がいます。
原因はいくつか考えられますが、腎臓などの臓器につながっている筋肉の衰えから、猫自身が思うように動かせなくなってしまうんです。
腸や尿道近くの筋肉が衰えると、尿を溜めたり排尿したりする筋肉が上手くつかえずに尿失禁が起こると言われています。
【対処法】
変形性関節炎症を発症している場合は、トイレの出入りが苦痛のためトイレ外でおしっこをしてしまうことがあります。
このように、尿失禁と紛らわしい原因もありますので、獣医さんに診断していただきましょう。
尿失禁だった場合の治療として獣医さんがよく行う方法は、腸や尿道近くの筋肉を刺激して動かせるようにする筋刺激剤を使ったり、尿道の環境を改善させるような食事療法などがあります。
認知症になっていた
高齢猫になると、認知機能障害(認知症)になっている場合があります。
特に16歳以上の猫の約80%以上が、なんらかの病気にかかっていると考えられているんです。
認知症になると、一部ですが、下記のような症状がみられます。
トイレの場所を忘れちゃうし、トイレで排泄することも忘れちゃうと、周りからは粗相しているように見えちゃうんだね。( ;∀;)
【対処法】
認知症を発症した猫にたいしては飼い主さんの介護が必要となってきますので、獣医さんに相談したり、高齢猫を介護する知識を飼い主さん自身も持ちましょう。
一番心配なのは、体に害のあるものを口にしてしまったときです。
認知症になると、当たり前と思っていることもわからなくなったりするので、トイレの猫砂をご飯と思って食べちゃうことも考えられますよね。
猫の行動を常にみているわけにもいかず、猫砂を食べてしまうと消化されず胃や腸に傷がついて嘔吐したり下痢をするかもしれないのは心配ですよね。
トイレの入り口が高すぎる
高齢猫になると、足腰の筋力も下がるので今まで普通に入れた高さでも、足が上がらずに入れなくなることがあります。
弱まった足の筋肉で体が支えきらず、関節に痛みがでることも増えてくるのでしょう。
【対処法】
入口から簡単にトイレへ入れる状態にしてあげると猫も楽ですよね。
入口から入るためのステップを置いてあげる方法がありますが、個人的には高いところへ登ることには変わりないので、ちょっと危険な気がします。
万が一、ステップを踏み外しちゃうと危ないよ。💦
足腰の弱い高齢猫でも楽に入れる入口が低いトイレに買い替えることをおすすめします。
トイレが小さすぎる
足腰の筋力が下がり、関節に痛みがでてくると、しゃがむこともきっとつらいと思います。
腰が下ろせない分、高い位置から排泄をすることになるので、トイレの外へはみ出しいてしまうことも。
大きめのトイレを用意してあげると改善するかもしれません。
【対処法】
トイレのおおきさは猫の体長×1.5倍と言われていますが、高齢猫の場合はもう少し大きめのトイレにすると、勢いよくおしっこをしてもトイレの外に飛び散ることもなくなると思います。
トイレまでの距離がある
高齢猫は、内臓系の衰えだけじゃなく運動能力も落ちてきます。
排泄をしたくなってトイレへ移動していても、普段過ごしている場所から遠い場所にトイレがあると、たどり着く前に我慢ができず排泄しちゃうこともあるんです。
体力がなく、足腰が弱っていると移動するのも大変なんだね。💦
【対処法】
足腰が弱くなると、どうしても1日のほとんどを同じ場所で過ごすことが多くなります。
普段過ごしている場所とトイレの置き場所が離れているために粗相をしているようなら、猫の近くにトイレを置いてあげましょう。
部屋の中を散歩する猫であれば、トイレの数を増やしどこにいてもトイレまで間に合うように配置してあげると安心ですね。
トイレまで間に合わないようなら、猫用オムツを検討してみて!
でも、猫にとっては負担になるから飼い主さんの目が届かない時間帯(就寝時間など)だけ使ってあげるとかケアは必要だよ。
トイレ環境が気に入らない
これは高齢猫だけではなく全ての猫に言えることです。
きれい好きな猫は、汚れたトイレでの排泄を嫌がりますし、トイレの置き場所が騒がしい所だと落ち着いて出来る別の場所を探してしまいます。
多頭飼いの場合は、他の猫にちょっかいをだされるとトイレ嫌いになります。
トイレ環境を嫌う条件で考えられることは、以下の内容が考えられます。
気に入らない環境だと、ストレスもかかるので自然とトイレを使わなくなってしまうんです。
【対処法】
猫はきれい好きな動物です。
まずはトイレ周りを常に清潔に保ちましょう。
あとは高齢でもトイレまでたどり着けやすい場所に、トイレを置いてあげてください。
静かな環境に設置するのも大事だよ。
猫砂やトイレ本体の形状は、猫それぞれの好みがありますから、いくつか試してみて、猫と一緒にトイレで使うものを決めていくとよいでしょう。
猫が粗相したときの注意点3つ
猫が粗相したときの注意点は、以下の3つです。
- 粗相をしても叱らない
- 粗相した場所は徹底的に掃除をする
- 猫用オムツの使用は最終兵器にして
3つの注意点について、解説します。
粗相をしても叱らない
高齢猫に限らず、猫がトイレ以外の場所で粗相をしたとしても、絶対に叱ってはいけません!
飼い主さんが一生懸命怒っても、猫はどうして怒っているのか理解できません。
【飼い主さん=大声を出す人】のイメージが出来上がってしまうと、警戒して近寄らなくなるかもしれませんよ。
甘やかしすぎるのも良くないけど、粗相をしたときも冷静に何が原因なのかを確認して、なるべく猫がトイレで排泄できるように改善してあげましょう。
粗相した場所は徹底的に掃除をする
マーキング行動でおしっこをすることもあるほど、猫のおしっこは強烈なニオイを発します。
嗅覚が優れている猫にとっては、飼い主さんが掃除してニオイを完全に取り除いたつもりでも、ニオイは残っていることも少なくありません。
自分のニオイがする場所やものに安心するため、同じ場所でまたおしっこをする可能性が高いんです。
だから、飼い主さんが「これでもか~~~」ってぐらいに掃除してニオイの元から断ち切ってくださいね。
今、洗えるカーペットも多く販売されているので、万が一のためにそういったカーペットを敷いておくと掃除が楽になると思います。
猫用オムツの使用は最終兵器にして
猫用オムツをつけることで、部屋の中で粗相することはなくなりますが、それって悪い言い方をすると【飼い主さんのエゴ】ですよね。きつい言い方して、本当にごめんなさい。
猫にとって、おむつをつけることは不快に感じることが多いでしょう。
でも、おむつをつけてくれると安心するんだけどな。。。
気持ちはすごく、すっごくわかります。私も経験がありますから。
「じゃあ、そのときどう対応したの?」ということですが、私は虹の橋を渡るまで、おむつは使いませんでした。
いろいろな意見があって当然なのであくまで私の考え方なんですが、猫にも命が消えるそのときまで、猫の本来の姿のままで生きてほしかったんです。
そのかわり、私の部屋のカーペットやベッドの上でもしょっちゅうおしっこしてましたが、拭いたり洗えばいい話だしトイレシートを部屋中敷き詰めたこともありました。
私は、猫の気持ちを尊重してあげられて、良かったと今でも思っています。
おうちの事情が違うため、難しい飼い主さんもいると思いますので、最終兵器としてとらえていただけるとうれしいです。
おしっこだけ粗相しちゃって、うんちはトイレに間に合うケースも多いので今回はおむつを最終兵器としましたが、うんちもトイレ以外で粗相してしまう猫には、かわいそうですがオムツが必要だと思います。
まとめ:高齢猫のトイレ環境は特に徹底して行いましょう
高齢猫になると、トイレ以外でうんちやおしっこすることが目立ってきます。
内臓・筋力の衰えや、関節炎などを発症したり糖尿病や慢性腎臓病を発症するリスクが高くなるため、若いころ普通にできていても難しくなることが増えていくんです。
高齢猫の約80%以上がなんらかの病気を発症していると言われているため、少しでも異変を感じたら動物病院を受診してください。
認知症が隠れている場合もありますし、高齢猫がトイレ以外でうんちやおしっこをしたとしても決して叱らず、猫がトイレで排泄ができる環境に改善してあげましょう。
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